※この説明は、初めてボーリング柱状図を見る方のための説明です。 ベテランの方からみると、回りくどかったり、説明が足りなかったりするかもしれませんが、あくまでも分かりやすさを心掛けましたので、 予めご了承ください。
1 土質試験に関する一般的な説明
2 ボーリング柱状図
3 ボーリング柱状図の説明
構造物を作るときは、それを作る地盤についてその状態や性質、強度などを十分調べておく必要があります。 ここに、構造物とは橋、建物(ビル、家など)、ダム、擁壁、道路など地盤上に作られるもの全てをいいます。 土木工事において、地盤を調査して、埋め立てなどの材料土として使用できるかどうか、あるいは強さなどの土の工学的性質を調べることなど、 土の全般に関する調査を土質調査といいます。
この調査には、直接現地で地盤の性質について調べる原位置試験と、調べたいところの土を採取してきて室内で調べる土質試験があります。 これらは工事の種類とか重要度によってどちらか一方あるいは両方が行われます。
原位置試験の中で概略調査などでよく行われる調査にサウンディングといわれるものがあります。 サウンディングはボーリング孔を利用したり、地表から抵抗体を打ち込んで、貫入や回転あるいは引抜きを行ってその抵抗値を測定し、 その点の土の状態や力学的性質を推定することをいいます。
  サウンディングの一つに、ボーリングと併用して地盤の深いところの土の硬さや締まりぐあいなどを調べる標準貫入試験注)がありますが、 これは構造物を支えることのできる層(支持層)の位置や支える強さの判定に利用します。この試験は決められた重さの抵抗体をハンマーで打ち込みますが、 このハンマーの打ち込みの打撃回数(N値という)によって、支持層の位置や支持力の判定をいます。当然N値の大きいほうが締まった地盤といえることになります。
注) 標準貫入試験:63.5kgのハンマーを高さ75cmから落下させ、 ザンプラーを30cm貫入させるのに要す打撃回数N値という)をはかる。サンプラーは装置の先端につける抵抗体をいい、土試料が同時に得られます。
図1-標準貫入試験

標準貫入試験の結果は、次図のようなボーリング柱状図(土質柱状図)として示されます。 この図から現地の土層の状態、基礎の設計や土木工事に必要な地盤に関するいろいろな情報を得ることができるため、ほとんどの工事でこの調査が行われます。
図2-ボーリング柱状図

上に示すボーリング柱状図は形式が多少異なるものもありますが,主な図を示しました。 また、この表の値は説明のために作成したものです。これを見ていただければ大体様子が分かると思います。
■上記のボーリング柱状図の下方につけた番号①~⑪について説明します。

①標尺(m):地面からの深さを示す。

②層圧(m):各層の厚さを示す。

③深度(m):土質(土の種類)が変わる深さ。

④柱状図:土の種類を記号で示す。この記号は決められています。

⑤土質名:土の種類を言葉で示す。

⑥色調:各層の土の色。

⑦記事:各層の土の主な特徴を書く。

⑧深度(m):N値を測定した深さ。

N値の測定は、普通深さ1mごとに行われる。そのうち、はじめの貫入量30cmについて測定する。

⑨打撃回数:N値。

⑩貫入量(cm):⑧の打撃回数で貫入した量。貫入量は普通10cmごとに打撃回数を記録する。

⑪N値:N値が0のときは、地盤が非常に軟弱であることを示す。

N値が50以上になれば、全て50とおく。重い構造物は杭をここまで打ち、この層で支える。

いろいろな分類方法があるようですが,次の表を目安にしてみてください.

表1.N値と地盤の状態
N値 硬軟 注意事項
粘性土 0~4 やわらかい 中位を要する軟弱地盤であり,精密な土質調査を行う必要がある.
5~14 中位~硬い 安定については大体問題はないが,沈下の可能性がある.
15以上 非常に硬い 安定および沈下の対象としなくてよいが,中小構造物の基礎地盤としては20以上が望ましい.
砂質土 0~10 ゆるい 沈下は短期間に終わるが考慮する必要あり.地震時に液状化の恐れがある.
10~30 中位~硬い 中小構造物の基礎地盤となりうる場合もあるが,一般に不十分である.
30以上 大構造物の基礎としては,50以上(非常に密)が望ましい.
(道路土工-土質調査指針より)

注)①から⑦までは地質調査技師がサンプラーをあけて中の土を観察し記入する。

参考文献:足立他、土質力学、実教出版㈱,2004.河上房義,土質力学,森北出版㈱,1991.