1 圧密に関する一般的な説明
2 圧密現象の説明(参考)

自然にある土は,固体の土粒子液体の水気体の空気の三つのものから構成されていますが, 生成過程やできてからの経過時間等によってその構成される割合はいろいろです.このうち水と空気から成り立っている部分を間隙といい, これを模式化して表すと図1(b)のようになります.特に図1(c)のように間隙が水で満たされて飽和している土を飽和土といいます.

図1-土の状態と模式図
土の間隙中に含まれる水の量を含水量といいます. 含水量を表すのに水の質量と土粒子の質量の比を百分率で表した含水比Wが用いられます. また,自然状態にある土の含水比を自然含水比wnといい,土の種類によって大きく異なります.この値は,一般に荒い粒子が多いほど小さく, 細かい粒子が多いほど大きくなります.
■松江市周辺での含水比を測定してみますと次表のようです.
表1-松江市周辺の土の含水比の例
腐食度 沖積粘土 洪積粘土 真砂土 クラッシャーラン
100~200% 50~90% 30~50% 8~15% 2~5%
■日本の代表的な土における含水比を表2に示します.
表2-自然含水比の測定例
泥炭 黒ぼく 関東ローム 洪積粘土 沖積粘土
115~1290% 30~270% 80~150% 30~60% 50~80%
■日本の代表的な土における含水比の粒子の内訳を示します.
表3-粒径による土粒子の分類(日本統一土質分類法)
74μ 0.042mm 2.0mm 5.0mm 20.0mm 75mm 30cm  
コロイド   シルト 細砂 粗砂 砂礫 中礫 粗礫 ゴブル ボルダー
粘土
土質材料 岩石質材料
表3の左へ行くほど粒子が細かく,粒子が細かいほど水も通りにくく,透水性が悪くなります。また,表1,2からも左へ行くほど含水量が多いことが分かります。

図1に示すように土はすきま(間隙)を持っていますが,このような土の地表面に構造物などを構築すると,間隙中の水や空気が排出され間隙の体積が減少し,地表面では沈下として現れます.その量を圧密沈下量といいます.

間隙の体積の減少は,

→砂質土の場合,飽和していても透水性が高いため,水が抜けやすく,比較的短い時間に生じます.

粘性土の場合,透水性が低いので水の排水に時間がかかり体積の減少は長時間かかって生じ,また,

間隙比が大きいため沈下量も大きくなります.

以上のように、透水性の低い土が外力を受け、その間隙の水を排出しつつ長時間かかって体積が減少していくような現象圧密といいます.

地盤上に構造物を建造する場合、それが将来どれくらい沈下するか、また、その沈下量が時間の経過とともにどのように進むかを予測することは設計・施工上きわめて必要なことです。
図2-圧密現象の説明
●[参考]圧密現象の説明-テルツァギは次のピストン模型で圧密現象を説明します
(1)圧密模型:水を満たした容器にバネのついたピストンを装置した模型を考える.

バネ土粒子が形成する土の骨格を示す.バネに作用する応力をσ’とする.

土中の間隙水.間隙水圧をuとする.

ピストンの小穴土の透水性に対応.

p:荷重(kN/m2),σ’:土に生じる有効応力(土粒子間に直接伝わる応力)

u過剰水圧(土の間隙水に発生する水圧.一般に間隙水圧のうちで静水圧よりも大きい部分の水圧をいう)
図3-圧密現象の模型による説明
(2)圧密現象
①ピストンの上に荷重pを載せた瞬間

容器内の水は外部に排出されないのでバネは変形しない.

加えられた荷重は容器内の水でささえられ,生じる水圧は荷重に等しい.

土の間隙に発生する水圧を過剰水圧という.

載荷瞬間には次式が成り立つ⇒u=p

②ある時間が経過したとき

uの圧力で小穴から徐々に水が排出され,ピストンは下がる.

バネに変形がおこり,荷重の一部はバネによって支持され,それだけ水圧は下がる.

バネ,すなわち土の骨格に生じる有効応力σ’は、⇒σ’+u=p

③十分時間が経過した場合

排水の進行とともにピストンは下がり,荷重を支えるのに十分な有効応力がバネに生じると過剰水圧はなくなる.

このとき小穴からの排水はとまり沈下は停止する.⇒σ’=p、およびu=0

このとき,荷重による圧密が終了する.

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